2017年9月15日
学校の二分化について
オンライン授業はこれまでより安価に知識の束を伝えられるので、近い将来の学校がオンラインを中心にする様になることは明らかだ。茨城県教育委員会は、県内の全公立高校に対してオンライン授業を行っている放送大学、及び国内外のオンライン講義(オープンコースウェア)を紹介し、また県内の全公立中学に対して同様のN高校、高萩市にある通信制の第一学院高校の進路選択または保護者への紹介を行わせ、今後もふえていくだろうオンライン高等教育へ生徒側に常に選択肢を与える事を義務づけるべきである。なぜならこれらの推奨は高等教育への費用負担を軽減させることで、これまで経済的理由で進学をあきらめていた県内の進学率をあげていくし、何らかの事情または目的意識で通学制の全日制学校を避ける人にも別の公的教育機会を提供するからだ。
上述の私立大学の紹介にとどまらず、ほかに寧ろ、茨城県立で小中高大までの各オンライン公立校を整備する必要がある。勿論こちらの授業は県民に対して無償化するべきである。
幼稚園や小中学校についても、オンライン化の導入が進み、ウェブ上で授業を受ける事が広まっていく速度の方が速く、既存慣性によるオフライン授業より効率的または経済合理的である以上、将来にわたって学校のオンラインおきかえがすすんでいくだろう。その途中ではオフライン学校の希少価値の方が高まっていき、伝統校にのみ存在した様な何らかの不文律や実体験のみによって得られる或る魂が取り沙汰されるだろう。イギリスのパブリックスクール、寄宿制の公立校は、貴族である紳士階級の子弟のみが雇いうる家庭教師を公的に雇い、集団教育というより安価な体制にしたうえで準貴族をめざす人々の上昇志向に需要が存在してきた。日本は格差社会になってきた上、少子化にもかかわらず子供の貧困率は高くなってきており、子育て世代の資産不足は明らかな状況で、そのうえ教育関連予算を安倍政権は削ってきている。要は現在この国では、高等教育の無償化と格安化が必要である。それと同時に、ひとりでに差別化された既存の体験型伝統校と、無償オンライン授業が主なウェブ学校に二分化がおきていくだろう。費用負担があまり問題にならない比較富裕な人々は、伝統校に進学する事は、はじめのうち変わらない。そしてそこでのみ得られる、恐らく効率的ではなかった体験的価値は、単なる顕示的な装飾物として役立つ様になるだろう。
現時点ではsignalingとしての学歴が名門校の箔としてきいている状態で、その事情は国際規模では世界ランク上位の米英圏の学校、国内規模では旧帝大を中心に続くだろう。ある期間経過した目でみれば、実利的にオンライン授業を有効に使った人々が成果面で勝利を収め、旧体制としての名門校閥を駆逐していくことになるだろう。恐らくその中途段階では名門校の人間関係や、体験価値からくる何らかの暗黙知、肩書の信望による箔などの利用に加えて、オンライン授業も効率重視で重ねて使う雑種的な経路をとる人々が現れ、高い成果を収めるだろう。かつて旧体制は新体制にとってかわられてきたし、教育分野にあっても、日々現れる選択肢の中でより功利的な方法(これは必ずしも商業的という意味ではない)をとる人が優れた正解を出すことになるだろう。