JA常陸を含む県内農協、また農家は、今後明らかに流行し大いに販売先が広まるだろう野菜・果物シートを、はじめから非常に原価が抑えられる規格外の野菜果物の買い上げ体制と、それをシート状に加工する合理的な生産設備と共に開発し、作物シート市場の世界的覇権を野菜・果物王国である茨城県産が干し芋同様に世界シェア100%を目指しできるかぎり独占するよう、輸出、販売、営業までも含め今すぐにでも六次産業化するべきである。県産品目が日本一豊富であり、市場に流通しない作物を使えるという意味で非常に原価が抑えられ、加工技術を高めたり世界展開を工夫するほど高い付加価値がつけられるすばらしい青い海である。茨城産作物シート事業は高ROEが予想され、地理的表示(GI)、意匠(パッケージ等のデザイン)、特許(農業生産方法)取得を含むブランド化や商標登録を含めて、全県ぐるみで本気で乗り出すのに極めてふさわしい。おそらく最も効率よくこの事をなしうるのは、JA常陸または県内農協が共同出資で野菜果物シート専用株式会社を率先してつくり、この会社に市内県内の農家から市場に出回らない規格外の野菜と果物をできるだけ安く買い上げさせる事が大いなる成功につながる。利は元にありというよう、殆ど限りなく原価を抑えられる必然性があるからである。
思うに、世界で最も高級料理のイメージがあるフランス料理に最も合うような、加工バリエーションの中での最高級品を茨城産が世界で最も先に開発し、これを実際にフランスの一流料理人やパティシエへ積極的に最も先に売り込み大いに使ってもらい、不満や改良点を料理人や批評家、客から常に聞き出して世界一品質の良い、他に追随しがたい野菜シートの粋に達するまで洗練させ続けるべきである。この後、他社がいかに模倣改良しても、特許や商標、ブランド障壁、そして県産価格差でそれを未然防止する。世界の料理界から一目して最高級品と認められるよう、茨城産シートを使った料理や店が国際的に著名な受賞を総取りするまで、高級品イメージの宣伝を行うべきである。これらによって高付加価値化と、県産が占有的な高シェア率のままでの大量販売が両立し得るだろうから。そしてこの様な一商品の極めて高い評判は他の茨城産作物の後光にも作用するだろうから、乗数的な効果があがるかもしれない。
専ら、長崎県平戸市にある資本金2億以上の株式会社アイルの作っているベジートがこの業態の先駆だが、これはシート加工した海苔状の作物がべたっとした食感になってしまう事を、長崎女子短期大との共同研究で、酵素分解術と寒天を応用することでパリっとした食感に変えたところに工夫があった。とりあえずこの会社の商品を取り寄せて、農家農協が徹底研究しながらこの会社の製品を模倣改良し、茨城側に有利な戦略として量産化するところから出発するべきだろう。2018年春までにアイル社はトマト、かぼちゃ、パプリカ、バジル、梅干し、レモンの本格販売を行おうとしているが、量産化できているのは人参と大根のシートだけだという(AERA2018.1.3「仏の星付きレストランも採用 日本の「シート状野菜」その味と可能性」森田悦子)。即ち茨城勢が創造より費用が低い模倣によって先回りしてその他の食材の量産化にも進めればまだ勝機がある。そして追随しがたい決定的な革新が見られる段階まで県産品の改善が進んだ段階で、企業機密としてこの加工技術等をもった商品を商標登録するべきだろう。