ここから学べるのは、茨城県内では陽性と疑われる症状が出た人を優先して検査し、濃厚接触が明らかな人を除き(後述)、無症状の人については感染防止の注意事項(唾を介した飛沫感染、顔周りをいじる事での接触感染の防止、及び湿気を飛ばす換気)を啓蒙した上で、自宅待機を原則とすることなのだろう。
感染者が急増した理由に挙がるのが医療現場の混乱だ。イタリアは、これまでに新型コロナの検査を5万4千件以上してきた。感染者を確定させる狙いだったが、軽症の患者も徹底的に検査したため、病床が満杯に。医師や看護師の不足に拍車がかかり、感染が一気に広がった可能性がある。また茨城の検査可能数は1日36件しかないが、事情は周辺都道府県でも多少あれ似通っており、この潜在可能性を上回る感染が疑われる症状を持つ人数が出た場合、周辺自治体と検査の相互受け入れや隔離措置が必要になる(後述)。
米ブルームバーグ通信は世界保健機関(WHO)関係者の話として「検査をやり過ぎて害を及ぼしたようにみえる」と伝えた。無症状の人は自力で回復できた可能性があると指摘した。
――イタリア、医療現場混乱で感染急増か 全土で移動制限
和歌山県知事・仁坂氏は、軽症患者を自宅療養させようとした安倍官邸に「従わない」と宣言した。恐らく安倍氏の方針は五輪を見越し、軽症で済む8割を敢えて検査せず、感染自体をなかったことにする表面的な数字の隠蔽措置に過ぎないので、「国民の命を守る」施策ではないとの仁坂氏の判断だろう。
感染者5万6000人を対象にしたWHOの疫学調査によると、新型コロナウィルス患者は・80%が軽症・14%が重症・6%が重体
仁坂氏は軽症患者も和歌山内で徹底検査するつぎの方針をとった。
既に軽症にせよ症状が出ている患者については和歌山の方針が一つの参考になる。・国の基準では患者の発生は見つからないと判断し、積極的にPCR検査・相談者に代わり、県が仲介役として保健所に連絡
・一般の病院からPCR検査を受けられる体制をつくる
すなわち既に疑わしい症状のある人については茨城県庁に専用の相談窓口を作り、県内外の検査受け入れ先と茨城県民を直接仲介する。
濃厚接触などで陽性の可能性がある患者は2週間(14日)隔離などがフランスなどで国際的通念になっているが、1099人のうち1人の割合だが、中国政府専門家グループのトップ鍾南山氏らによると最長で24日後に発症した例がある。つまりこの2週間(14日)という隔離期間は厳密なものではなく、飽くまで最低必要な目安といえる。隔離期間が過ぎていてもその後も怪しい症状が出れば、医療機関側は再び検査可能にしておくべきである。
つまり茨城県庁は次の様な施策をとるべきだ。
1.先ず茨城県庁は周辺都道府県と協定を結び、症状のある患者の検査、及び、陽性患者の病床について、相互に余裕があれば受け入れる体制を手急ぎつくっておく。
2.また陽性の疑いがある濃厚接触が確認された人達については、茨城県小美玉市野田に既に宿泊施設のある移動式仮設住宅「スマートモデューロ」(日本ムービングハウス協会、住宅会社アーキビジョン21(北海道))の様な仮設住宅を迅速に建設できる会社と契約、各自治体で人家の中心部から離れた場所、また患者受け入れ病床のある病院と行き来が便利な地域にできるだけ余裕を持った数と質の高い居住設備を備えた隔離施設を作っておき、そこに最低2週間とどまらせる事だろう。
具体的に必要な仮設住宅数は、次の計算でおおよそ予想できる。世界で最も積極的に検査していたといえる韓国で、2020年3月10日時点の患者数は7513人、全人口は5147万人なので約6851人に1人が感染している(5147万/7513=6851)。もし最大でほぼ同じ感染率とすると、茨城県の人口は2868148人なので、約418人が感染する計算になる(2868148/6851=418)。すなわち必要と予想される病床数は茨城県全体で約418であり、既に200床程度は確保済みなので、余裕率をみて最低250~300床以上を新たに仮設住宅でつくればよい。
※追記:上記数字は人口当たりの感染者数で割った予想。検査数あたりの感染者数に基づく必要病床数は『茨城県庁は感染爆発に備え多めに見積もって重体者(人工呼吸器が必要)約8000人~1万人分の仮設隔離・治療施設を事前に準備できる様にしておくべき』
この際、必要な物資などは自宅などから持ち込み可としつつ、生協などと契約し、食料は任意に週に1度注文できる様にしておくなどが有効だろう。ネット注文その他も、外部との出入り口を2つほどにしぼり、そこで安全服を着た管理者を介して受け渡せばよい。但し外部者との面会には、飛沫感染を防ぐため、風通しのよい室内にした上で窓越しなどの必要があるだろう。
3.イタリアその他の例をみるかぎり、今後とも、少なくとも今年の半ばくらいまで、患者数はふえることはあってもへりはしないはずだ。したがって病床の受け入れについても、上述の仮設住宅を茨城県内に必要十分な数(250~300床ほど)つくり、それらの内部で外部と隔離可能にした上で医師らが対応するのが現実的といえるだろう。
既に中国でも3Dプリンター住宅(WinSun社が200棟を湖北省の病院へ寄贈)とか、政府が作った大規模病床(火神山病院)で同様の隔離住宅を作っている様だが、対策としては2週間程度の唾などによる飛沫接触感染の防止が必要なのでおよそ適切な対処といえるだろう。
(WinSun社が提供した3Dプリンター住宅。画像URL https://idarts.co.jp/3dp/winsun-3d-printed-medical-workers/)
(中国政府が建設したプレファブの火神山病院。画像参照先1、2、3、4)
こうして作った仮設住宅は、未使用または使用済みでも来年にかけ事態が収束する可能性が高いので滅菌消毒後、公設民営住宅(あるいはアトリエや、起業を促すビジネス・インキュベーション・スペースなど)として民間に売却できる。消費増税とコロナショックで激しい不景気に陥った今、建設投資として一石二鳥と呼ぶべきだろう。またその為にかかった予算は、今年から来年にかけて各地で発生するコロナウィルス対策費の一環として中央政府に請求できる筈だ。
追記:想定される隔離・治療施設を、簡単な設計概念図で描いた(クリックで拡大)。
滞在期間が最低2週間から長期にわたるので、わずかでも憩いの機会を作るため仮設住宅を並べた単位の中心部に、つねに窓から緑が見え、かつ、一定距離で飛沫感染に配慮したベンチのある中庭を設けた。なお植栽は夏場に繁茂し日陰を作る常緑樹が望ましく、特に治療区で外に出れない時の経過を感じる(季節感のある)落葉樹は望ましくないと考える。
なお実際の設計には、感染症の専門医と事前に相談し、清潔度(滅菌度)に応じた区画整理などの知見を組み入れる必要があるだろう。