2014年5月13日

政治学

 尊王論と愛民論は止揚されると、愛国論か愛郷論になる。尊王はいわゆる天皇親政、愛民は民主主義につながり、この両者のかんがえかたは王政と多数政としてことなる政治体制をみちびく対立項でもあるが、同時に天皇か王の名目性や選挙制度をもたらしている思想でもある。
 かつて烈公の改革による政教一致運動がおこなわれた経緯と、ジョン・ロック以来の政教分離運動は、これらもまた対立項であり、日本とイギリスという別の島国で異なる道筋を経ているが、また天皇制と議会主義という近現代政治の原型でもある。政教一致と政教分離の止揚は、思想、表現、集会などの言語活動を含む言論自由権になる。
 愛国論や言論自由権は期待された近代政治の原型となる考え方といえる。嫌国的な考え方は愛国の反動としてでてきているものであり、また媒体監視は言論自由権の反動といえる。嫌国は無政府主義をもたらし、媒体監視は全体主義をもたらす。対して近代政治は国家と個人主義を支持してきた。