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埼玉新聞 3月2日(土)12時12分配信
「ごみひとつなく感激」新幹線の清掃担当からお礼の手紙 生徒「最高の思い出」/毛呂山・川角中学校
清掃会社の女性社員から毛呂山町立川角中学校に送付された封書と便箋
「通路にごみがひとつもなく大変驚きました」「大変きれいにご利用いただき感激した」―。こんな文面の一通の封書が1月下旬、毛呂山町立川角中学校(毛呂山町川角、生徒数369人)に届いた。差出人は、東京駅で新幹線車両の清掃業務を担当する会社の女性社員。同校の2年生が修学旅行で東海道新幹線を利用した際、生徒らの行き届いた清掃に感激した女性からのお礼だった。大里冶泰校長(54)は「30年間の教師生活で初めて。当たり前のことをやって、それを認めてくれる人がいることに感謝の気持ちでいっぱいです」と話している。
送付された手紙は便箋2枚。「貴校に利用いただいた車両の清掃を担当した者です」と始まり、車両にごみがなかったことに触れ「貴校の普段の教育ならびに引率教員の方の行き届いた指導を、生徒の皆さまがよく理解され、大変きれいにご利用いただき、感激した」とつづられている。
さらに「おそらく生徒の皆さまが素晴らしい学園生活を送っておられるだろうこと。そして校長先生をはじめ諸先生方の行き届いた学生の皆さんに対する思いを深く感じながら楽しく清掃をさせていただきました。ひと言お礼を申し上げたく、筆を取りました」と、送付理由を記している。
封書には、「見ると幸せになれる」という都市伝説のある東海道新幹線の軌道を検査する車両「新幹線電気軌道総合試験車(愛称・ドクターイエロー)」の写真も同封されていた。
同校によると、2年生123人は1月20日から22日まで2泊3日の日程で、京都・奈良に修学旅行した。最終日の22日は清水寺などを見学した後、京都駅から午後1時6分発の「のぞみ」に乗車。同3時23分に東京駅に到着した。
生徒らは東京駅で降車する際、用意したごみ袋にごみを入れ、椅子は元に戻すとともに、ヘッドカバーを張り直し、床に落ちたお菓子などのごみを拾った。ごみ袋はまとめて車両の出入り口脇に集めた。
同校ではあいさつなど5項目の達成目標を設定し、指導している。ただ、大里校長は「車両のごみを持ち帰る指導はしていない」と話す。
女性からの手紙が届いたのは1月25日。校長らは学年集会で手紙の内容を生徒に報告するとともに、学年主任の教諭が女性宛てにお礼の手紙を送付した。手紙のコピーと同封された「ドクターイエロー」の写真は2年生の教室前の廊下に貼り出されている。
修学旅行の実行委員長を務めた斉藤望さん(14)は「思い出に残るイベントにするため、マナーを守ることを目標にした。車両のごみは実行委が率先して片付け、周囲の生徒らも協力してくれた。自分たちで実行したことに感謝され、最高の思い出になった」と喜んでいる。
大里校長は「使命感を持って行ったことが評価され、生徒らは自信がついたように見える。生徒の良さと取りえを伸ばすためにプラスのスパイラルになってくれれば」と目を細めている。