今後、単に世界的潮流になるだろうこと、それは政治の無報酬化だ。
今の段階で「財政赤字」がなぜ生じるかいえば、単に政治費用が機会費として高くつきすぎる、国家構造に真因がある。だからおそらく近世に先進国界を牽引してきたイギリスでもこれからこの機会費用の節減という部分に改造が及ぶだろう。
農業政策は、Britainでは既に観光・引退・リクリエーションの産業と一体化され省庁も統合されている。
Department for Environment, Food and Rural Affairs. は、「環境、食料、田園事業のための部門」とでも訳せるけど、これは日本の省庁でいう経産省・環境省・農水省を一つにまとめて国交省や文化庁といくらかかさなる部門に入れ込んだものともいえる。
日本ではカロリーベース総合食料自給率で39%、一方でイギリスでは59%がそうなっている(*1)ことから、田園側:カントリーサイドといわれている都市化されない地域の就業人口やGDPベースの価値観に染まらない、あるゆとりをもった地域での牧歌的生業は「地主化・集積」によってかなり効率面でもききめあると確認できる。某国会議員氏もイギリスのいなかを一つの模範にしてくにづくりに精励されておられたのを私も観察していたが、すくなくともあたりに工業化の十分すすまなかった多くの国々がある日本に属しているばあい、国際分業の面からも安価な食料を輸入し、できるだけ高価な製品を輸出していくことが太平洋の連帯にとって最も有益だとかんがえられる。
で、北茨城だけに問題をおとしこむと、この市あたりでかなり劣化しているのは政治費用の高さ、その機会費用の誇大化。前出(*1)の資料によると、イギリスで粗付加価値額にみた農業の占めるわりあいは2009年度でも0.5%でしかない。つまり、現在、TPPにからめて議論されてる日本での農業保護政策(関税)の継続観を、GDPなる数値の上下動で測ろうとするのはその時点でまちがえている。実際、いまの段階の日本でもそのGDP比は1.5%でしかない(*2)。
これらをかえりみると、「費用の高い政治社会」をつづけているとその利権や金権によって食料自給率や農園のみならず、地方の住民生活そのものが侵略的に破壊される。なぜならば、もし金利がなければ政治的力をもてないとすれば最も機会費用をかけた人物の意向しか通らないので。いいかえると、GDPでたった1%前後しかない圧倒的に不利なたちばの農作民は否応なく、財産や所得面からも、政治的勢力図からもどんどん阻害されるにちがいない。
こうして、論旨のはじめにもどってできるかぎり機会費用の少ない政治界をつくりあげる必要が、北茨城市民にはある。そして最もすぐれたそのしくみは、政治そのものを無報酬としてしまうことだろう。
自分はこれらのウェブログを公益なるもののために粒粒辛苦で執筆してきたのだが、完全に一文一銭たりともてもとに入ってこなかった。100%無代の仕事だった。その一方で、自分が知る限り市政のなかで費やされている額は単に報酬という面からあまりに多すぎるといえる(*3)。もし自分がこの市の長だったら、びた一文とらずに公共奉仕していた。
それをかんがえると「貯え」になる額の政治関係者の報酬は社会にとって大変に毒である、といえる。いってみればタダでも公共奉仕はできるのだ。必要な額をこえての政治による報酬は不純なもの、そして行く末あしきものであり、本来あってはならない、となる。商売をしている者が取引差額をさしひいていくことで生じる所得不均衡の是正の為にうまれてきた政は、もしそれ自体が商業化してしまえば際限なく所得不均衡を、よって有効需要の逓減をともなう為に社会を停滞もしくは退化させる。
最も理想的な政治家は、今現在のところ税収をすべて尊い民衆の為に(可能な限り高尚な文化活動を助成するべく)一銭ものこらず費やしてくれるタイプである――公共大学の建設は、内外の雇用と活動ならびに文物の周密を吸い込む為その最大の効果の一つとなるだろう。勿論、経済率、つまり瞬間消費財分の複利耐久財の社会資本蓄積効果はかんがみてになるべきだが。
この景気循環の波を起こす力が弱まりすぎて一切がうまくいかなくなっているおもな原因は、日本の中にあってはその消費性向の極度の弱さにある。そして問題が根深いのは、実はその大きな原因の一つに政治にかかわる機会費用の誇大化があった。この小論では以上で我々の時代が直面した停滞した社会状況という困難な課題への抜本的解決策を導いた。
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��1 http://www.jetro.go.jp/jfile/report/07000573/honbun.pdf
��2 http://www.maff.go.jp/j/kokusai/kokusei/kaigai_nogyo/k_gaikyo/roc.html
ただし、http://www2.ttcn.ne.jp/honkawa/0314.htmlによれば、同じ小さな島国でありながら模範的農業政策を実現しているともとれるイギリス(英吉利、英国)の農業出荷は輸出側にものびている。ここから分析できるのは、単に危急時用の必須栄養価防衛の為の自給率のみならず、「種類の分業」によって比較的寒冷な地方で生育・栽培あるいは加工や保存・発酵させるに適した品物のばあい、たとえ開放貿易に近い形で国開きしていても住み分け効果によって他の国の豊富に産出できる食品とかさならずに取引ができる可能性もある、ということ。米について、アメリカ米と日本米では労力のつく量的腹ごしらえ用と質のよい味そのものを目的とした高級食材用といった分業が、もし開放貿易のわくぐみの中でなら必然に起こるともおもえる。
��3 http://www.city-kitaibaraki.jp/uploads/fckeditor/14/uid000014_20110630172413f5024fdc.pdf によると、現市長は平成22年度毎月87万円(年額1044万円)を市税からふところにいれている。かつ、退職金は1期で1914万円。計2958万円が行政の長には入っている。これはたとえば東京都(年額2430万円、退職金含まず。http://kyudan.com/data/chiji_kyuyo.htmより)や大阪府(年額1711万円、退職金含まず。http://www.47news.jp/news/2010/06/post_20100630090302.htmlより)に比べて決して多すぎるとはいいきれないが、完全に無報酬で公益の為にはたらいてきた者からすると許容しがたいし、今後とも続けていいとはおもえない額だ。