2013年4月22日

テレビ・ラジオの社会的影響

ブラジルのメロドラマが家庭生活に与えた影響の研究もある。2005年当時、ブラジルで制作されるメロドラマのほとんどすべてを手がけていたのは同国の放送局『ヘジ・グローボ』だったが、ヘジ・グローボの電波が届く地域と届かない地域があったことを利用した研究だ。それによると、メロドラマが視聴されるようになった地域では、離婚率が上がり、出生率が下がったという。視聴者層のうち、若い女性の全般で出生率が下がったが、調査したすべての年を通じて最も激しい低下を示したのは、そのとき放送されていたメロドラマの主要キャラクターに近い年齢層の女性だった。
テレビが人間社会に及ぼす影響:社会学的研究の数々
http://wired.jp/2012/06/19/natural-experiments/
 韓流ドラマのほとんどは離婚率上昇と出生率低下という女性解放運動的な結果をともなう可能性がたかく、すでにその傾向が少子化や家庭崩壊につながっている日本にとってはさらなる悪影響がおおきいかもしれない。
ダール氏が取り上げている研究のひとつでは、インドネシアの一部の村が地形の関係で、たまたま他地域よりテレビの放送信号が届きやすくなっていることに着目している。テレビの受信状態が良好なそれら地域の住民は、地域のコミュニティ活動への参加傾向が低かった。その傾向は、大都市からの距離など、研究者が考えつきそうなあらゆる要素と無関係のものだった。この論文のタイトルは、「テレビやラジオはソーシャル・キャピタル(社会関係資本)を破壊するか」という悲観的なものだ。
 こうして茨城県の地域コミュニティを強化するためには、首都圏の放送枠を淘汰または県内の放送局が支配できる条件づけが今後有用になっていくだろう。