2010年10月5日

芸術指導のコツ

らしいどころかたしかに逆説だけど、「うまさを見なかったことにする」のが良い芸術作品や作家をつねにつくりだすコツと思う。かんたんにいうと、うまいかへたかではなく、筋がいいかどうか一般論で語ることが重要だ。

うまいかどうかは、勿論芸術であればそれが主題ともいえるが、実はこのたくみさはそれへ注目しない様にすることで最も伸ばされ易い。

 市報にのってたが、中郷中だかの女の美術教師があまり素晴らしいうまさでもない漫画の絵をかいた生徒をうまいじゃないの、と言ってほめたらしいが、これはよくない指導である。うまいかへたかは実はそれを見ない様にすることで最も伸びる。だから「いい絵ですね」とか「面白い絵ね」とかいう褒め方は正しく、巧拙を直接褒章してはいけない。
芸術作品には悪の要素があらわれることもよくある。また真偽をぼかす表現もある。こういう要素は、芸術にとっては少しも重要ではない。迷惑きわまる技とか、嘘っぱちの天才とかは現れてもむしろ無視されるべきだ。
だからたくみかどうかは事実上どうでもいいのだ。もっといえば、ろくでもない大作家よりはすばらしい日曜大工のほうがよっぽどいい芸術家であり市民の誉れなのだ。

 間接的にいえば、教養をつけさせることこそいい作品をつくりあげる必要条件で、このなかで最も器用な者がたまたま評価されると偉い芸術家に見える。だれでも俳句は詠めるかもしれないが、その素晴らしさには偏りがある。どこにも駅はあるだろうが、実に趣のある駅舎もだれでも忘れられる様な駅舎もある。つまりこれが表現をおしあげている教養というものだ。市民憲章を参照せよ。
重要なのは『よく勉強すること』、これでしかない。