市内経済を巧くたちゆかせるに、『文化人奨学金』制度を設けるといい。これは市内在住で、市民の名誉と文化の発展へ寄与した人物かそれが十分期待できる人材をえりぬき、その年齢をとわずに一定額以上の奨学金を与える。
なぜこれが有効かいえば、ろくでもない使い方よりもろくでもある(他の模範になる)市民の共有していける文化財産への投資が、そういう層には期待できるからだ。いわゆるごみ捨て型の再分配とはそこが逆だ。
普通、奨学金はまだ業績のない人物へ与える。けどそれはむしろ大学がある地域で有効だろう。この市にはまだ大学がない。奨学金を与える層は、青年期には大部分が外の市やら都市やらへ流れでていく。だから消費性向が回復するのは、彼らが地元へもどってきてからだ。
医学生へ限定した奨学金、はつねに市内から支出してもまったく損はないだろう。市内での医療従事を条件とするとしても。しかし、それだけでは消費性向をのぞましい景気感まで回復する効果は多分ない。千人単位ならわからないが数人ではそういう流れにはならない。
だから毎年なり毎月なり十名とかそういう単位で北茨城文化人奨学金なる名目で、市税から一定額、たとえばひとりあたま数万から百万程度(可能なら消費期限つきじもと商品券のように市内での有効需要喚起を前提として)を市内の有用な人材へ再分配する。彼らがもし市内在住なら、ほかの地域でよりも市内での消費が基本になることから、或いは周辺地域であっても彼らの高い趣味に応じた消費材が売れていくことになるだろう。
そしてこういう大きな流れは「北茨城市の人は太っ腹で趣味がいい」といった評判になり、いずれはこの市内に品格のある、しかもみずから名誉を得るほど必要な財産と才能に恵まれた教養人材をひきつけてその持つ発展に貢献するだろう。
ここで文化人というのにはおもには芸術家かもしれないが、ほかにも学問上の業績(たとえば大津にある民俗学会で方言辞典を自費出版した人達など)、農林水産業上の発展や伝統の保存にあきらかに尽力した者、青少年でも賞や優勝にあたいする市の栄誉をます業績を挙げた者をさしている。
個人的におもうのは茨城県か水戸には、おなじく伝統ある「学問人奨学金」を、日立には「技術者奨学金」…筑波にはもっと限定して研究者奨学金を、鹿島なら競技人奨学金を、笠間なら宗教人奨学金…といった風に地域の特徴を強化する方向へ積極的に債権を行使するのが、現状のつまった経済状態のもとでは行政の徳だ。