2011年6月12日

市政の素朴な道徳論

自分は、松本氏が掲げた公約は一つのまっとうな、よかれあしかれ素朴な、当たり前の倫理感覚ではなかったかと思う。つまり病院のたてものも、使えるものは大切に使いなさい、無闇に新しいものを追い求めるより古くてもいいから物を大切に使いなさい、という勿体ない道徳。

 そして、今回の核事故をみると交付金やら立地金やら目先の損得に騙されて悪事に呑まれるともうとりかえしがきかない、というのも真実。
 自分は、一市民としていうが何も豪勢な施設や豪華な暮らしを皆に求めたいとは思わない。だから、高度成長期の狂った泡感覚をひきずっている団塊はまさに老害に見えるし、実際にそうだろう。
彼らは自民党の派閥領袖へ最も典型にみられる如く、談合によりすさまじい大金を中央から貢がれ、あるいは大企業や天下り先を誘致し、融資された税金を地元の土建票田ねらいに大量投下する、といういわば‘税収麻薬漬け’を何とも感じずかえって正しいと感じている。

民衆の無知と検察の甘さにつけこみ、こういった談合による大量の金使いと連続当選の構図を無際限にくりかえす。それが団塊の特徴で、現市長豊田氏の殆どの選挙手法と行政手法のそのままを示している。

 しかし、やはり悪は悪だ。そもそも土建票ねらいに中央から大量下賜金をもらいにいく、といった意図そのものが不正で、一つの名前なき犯罪ではないかとさえ思う。なぜならこの過程の暗箱さにより一般の民衆はすべてを知る事はできないのだし、もし知っていたとしても同じ道を辿る者は卑劣あるいはさもしさのそしりを免れるものではない。歴史はその地域にもあるわけで、実際、大企業依存病はその地史へ民俗の病理として示される様だ。
どうか豊田氏よ、税収麻薬への依存から自力で抜け出されんことを。私は有権者としてできるかぎりの更正へ力を貸した。しかし、民衆はそれよりもずっと低い級の公徳観念しかないのだ。便利になればいい、今までと変わるのは不安だ、昔から根回しされている、その位のおろかしい意図で投票行為をする民衆も、無論 罪を免れるものではない。

自分は昨日、NHKの特集でこの市の大津の漁師がとりあげられるのをみた。どれくらい彼らが自覚していたか又買い被っていたかはわからないが、コウナゴ漁でこの時期に800万円の収入があったと報道された。そして借金してまで船を買ったと。
その態度と構図は、まさに豊田氏の生き方そのものではないかと自分には見えた。焼きそばを食べつつ刺身も食いたいという。しかし、焼きそばが食べられればそれで十分ではないか。それすら食べられない者もいる。勿論、精神論は矛盾に満ちている。だが今日の御飯を食べられるだけで自然と人間の英知へ感謝しようではないか。

福島第一第二原発は、前佐藤福島県知事が国政へ物申していた如く、上述の団塊風自民党の談合でいわば地方へ地方へとおしつけられていった東京資本の悪業だった。交付金をやる、と脅しつけられ又知能の弱い議会の党閥にのまれ、それに少しでも手をつけた途端すべては暗転したのだ。プルサーマル計画への現佐藤知事による反対も、民衆の無知へつけこんだ議員らの利権趣意により潰された。結果、企業体質の大変悪質な東京電力株式会社の備えの怠り、及びそれへのっかっていく自民党や民主党の予防軽視で世界最悪の大公害がひきおこされた。*1
 我々が同じ構図に、間接や直接にまきこまれているのを認めねばならない。だから、市井の有権者はできうるかぎり松本氏の公約も少なくとも間違いとはいいきれなかったと考えねばならない。
その素朴な勿体ない道徳は、自体が真理なのが間違いないだろう。豊田氏の様、山や谷を切り拓き森を壊し川を潰しつつ汚し、100年先のことも考えない大施設を次々立地させようと企む者は必ずしっぺ返しをうける。だから「緊急避難先」としての高台と兼ねるという豊田氏の新病院構想は間違いばかりとはいわないが少なくともまだ使えるのに壊して建てるといった勿体ない悪徳も含まれている。

豊田氏は地元へのコネクションによって連続的に当選してきた典型な談合首長だ。その姿勢の横暴は、市役所を一個の市民として訪れた者にはすぐに分かる。その直属の役人らは腐敗しており、居丈高で、市民奉仕に自覚なく、高慢で自らの給与の安定が万事へ先立ち、生活の安定と服従による保身を目当てにその首長から飼われている。
市内百人もいる様な民生員なる立場の公共奉仕への志願者はただ働きしているが、彼らよりはるかに大量の金、具体的には年収3000万円以上を税収からうけとっている首長とそれにたぐいした副市長、あるいは殆ど期待ほど活発な議論をかわさず自ら全員評議会などの首長独裁の悪風を変える能力もなく高級をはむ市議会議員が、一体どうして罪の意識をおぼえないか、税収をはむ分限で十二分なしごとをしないか、私は理解に苦しむ。

その壮大な腐敗と権力の堕落とは、自分の眼には戦後、団塊がつくりあげた邪悪な社会の末期症状に映る。私は鴎にもそれが変えられるとは思わない。一つのあきらかな対策としていいきれるのは、当然として、まつりごとの分野で生き残る者は最も道徳の高く正義感の強い者達だろう。
一体どうしてこの後期資本経済の滞留しきった団塊老害社会がこれ以上、彼らへ恵むというのか。そうなったとしたら若者は絶滅するか、結果、服従する黄犬となった不良品しかのこらないだろう。

民衆へかたよらない精確な報道で正しい啓蒙を行うべき大量報道、いわゆる茨城新聞でもいわば利権の温存へ汚い手をつかっていないとは思わない。私、単に市井の日誌者の目にすらきわめて不正や不正義、おろかしさに満ちてすくなからぬ悪徳者である豊田氏へ好意ある特定報道を行うなどは、市民のみならず人類の尊厳にとって害毒だ。迷惑をとおりこして我々は詐欺されているとすらいえるかもしれぬ。
ばら新某記事によれば豊田氏の震災当日のアリバイはあれで一応供述とするにせよ、震災一週間は直接なにも市民へしなかったことをこそとりあげねばならないし、避難所を見舞いもせず、今度は選挙期間中に別の立候補をなにものかが殴るといった(これは確証ではないが、事件として広く報道されなかったので犯人がどれほど現市長周辺と関連するかは容疑にすぎないが)郷原ヤクザぶりなのだ。その肩を持つとは以ての他。
県内最悪の被曝地としてさっさと東海第二の停止を求めて運動を起こす。これが普通の水準の首長だろう。漁協の損害賠償につきあうなど、大津と関本地区の談合に時間を費やすなどろくでもない地元利権への種蒔きにしかみえない。事実その通りで、予測だが、公表されれば地区別投票率は大津関本地区が彼への支持が最大、他の地区は遠ざかるほど減ると思われる。

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��1 このweblogでも以前少し指摘したが陽子加速器とは凄まじく危険な設備で、ブラックホールができれば人類はそこを中心に絶滅し地球は消滅する可能性もある。だから理論の確証がとれない実験へは最大限に慎重たるべし、というあたりまえの倫理観なく安易に事業者をまねいている東海村は厳しく糾弾されねばならない。
 また、地方原発政策の黒幕へは敢えて言及しない。私は一人の日本国民として日本の官僚はおそらく世界で最も優秀な人種に入ると思う。だから彼ら「真面目に試験を受けて真面目に働いてきた」組織が自壊の方法論をとってしまったのは、歴史の必然ではあるが、免責したい心情だ。優秀な馬から落馬して責められる馬の方が可哀相ではないだろうか。それを使う者、使い方を間違えてきた者こそ本当には責められるべきだと考える。