2018年4月22日

公立教育無償奨学金について

 政府が奨学金を付与する範囲を「公立」に限るなら、これは学生の費用負担の面から合理的である。他方、公立について一律無償化するなら、寧ろ富裕層に有利だから、奨学金拡充に比べ議論の余地がある。また私立を含む無償化が過剰な富裕層への再分配だという論理は、正しい。
 奨学金の中でも貸与(有償)と給付(無償)があり、政府の行う奨学なら常に給付・無償であるべきだ。なぜなら拠出元が国税なのだから、学生自身が二重負担するのはおかしいからだ。
 給付奨学金(無償の奨学金)を政府が公立生徒・学生に与えるのが正しいとして、この際の所得制限を見分けるのに費用がかかる。つまり進学を諦める誘引となるほど一定より貧しい家庭や学生生徒に限って実質無償となる奨学金給付する。その基準は進学率を向上させるため、中程度の所得以下に定めるべきだろう。一律無償化の方がわかりやすくなるのはこの手続き費用のためだが、公平を考えると奨学金の方がすぐれている。
 給付奨学金の所得制限調査に国民番号を使った機械的手続きを行うべきであって、この種のしくみを最大限に民営化する事、特にウェブを通じ手続きを簡素化する事が最も合理的だ。国民番号を用いる以上、暗号化を含めた手続きサイトの運営母体自体を民間委託のコンペで選び、この委託先を一定期間で、手続きの全てを市民に公開記録・録音録画・ライブ配信して再審査する事が有用だ。給食費や修学旅行等経費も含め、できれば学校側で奨学金対象者を自動的に把握できるウェブ上のしくみと共に同運営業者を公募すべきだろう。

 茨城県についていえば、2018年現在、4位の可住域に比べ、大学数9個(23位)と少ない。しかも公立1校、私学も5つと、国立大は3つで同じ数である京都が公立4校、私立27校もある事に比べ圧倒的に少ない。大きな理由は大学数が最大の東京都に進学する人が多すぎる為だが、国に働きかけつつ大学誘致を積極的に図り、特に私学誘致に有利な税制を造る事、またオンライン教育を含めた公立大の設置に積極的な施策をとる事で先端的教育の集中地となる事をめざすべきだ。
 国から与えられる奨学金に加え、県内大の進学者について上述の無償奨学金を付与する事で学費負担を世界で最小にする事が、世界中から優秀な学生を集める鼓舞となるだろう。
 既存の大学についていえば、通信制大学である放送大学の茨城学習センターの利用案内を県内の全公立校・私立校に配り、この大学は高卒資格なしでも、或いは高校時代から単位認定の為にオンラインで講義を受けられ、費用負担も通学生に比べはるかに少なく、オンライン授業が主であるから入学定員も基本的になく無試験でだれでも入学できることからも、高校教員に大学紹介を義務づけて県内進学者を多産するべきである。と同時に県内の国立・公立・私立の大学にオンライン授業の講座開設を官民で推奨し、入学定員なく希望者全員が県内進学できる体制を手急ぎ整える必要がある。