2018年7月13日

国際赤十字「人道憲章と人道対応に関する最低基準」(スフィア基準)

災害や紛争時の避難所について国際赤十字が提唱する最低基準(スフィア基準)は、次のように定めている。

・世帯ごとに十分に覆いのある生活空間を確保する
・1人あたり3.5平方メートルの広さで、覆いのある空間を確保する
・最適な快適温度、換気と保護を提供する
・トイレは20人に1つ以上。男女別で使えること


これは貧困地域や紛争地域にも適用される最低基準である。経済力の豊かな日本で、この基準を遵守できないとは思われないが、実際には程遠い。

災害対策予算を確保して、迅速な避難者支援をできるよう資材の備蓄を進めるべきである。

避難規模が大きい場合には、公費で宿泊施設(ホテル、旅館、青少年の家、ユースホステル等)への避難を指示できる予算措置と制度化を検討するべきである。

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なぜ日本の避難所は劣悪な環境なのか。そこには、災害対策や復興支援についての日本と諸外国との考え方の違いが表れている。

実は、前述の国際赤十字の基準(スフィア基準)は、単なる避難所施設の建築基準ではない。

正式な題名は「人道憲章と人道対応に関する最低基準」であり、避難者はどう扱われるべきであるかを個人の尊厳と人権保障の観点から示している。

日本語版で360ページ超の冊子は、冒頭に「人道憲章」を掲げており、次のように宣言している。
*災害や紛争の避難者には尊厳ある生活を営む権利があり、援助を受ける権利がある。
*避難者への支援については、第一にその国の国家に役割と責任がある。

(国際赤十字・スフィア基準「人道憲章」より)

つまり、避難者は援助の対象者(客体)ではなく、援助を受ける権利者(主体)として扱われるべきであり、その尊厳が保障されなければならない。

これは避難者支援の根本原則とされており、人道憲章に続く個別の基準にも貫かれている。

たとえば、避難所の運営や援助の方法については、可能な限り避難者が決定プロセスに参加し、情報を知らされることが重要とされる。避難者の自己決定権が尊重され、その意向が反映されてこそ有益な支援が実現できるからである。
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/56477?page=2http://gendai.ismedia.jp/articles/-/56477?page=3
災害対策として上記のことを前提に施策を進めるべきだ。